・公正証書作成で強制執行が可能
公証人法では公証人の職務を3つに分けています。その職務とは公正証書の作成、私署証書または電子証書の認証、その他の事務です。
公正証書の作成は、当事者の意思を確認し、法律行為や権利についての記事を作成することが含まれます。その場合の公正証書は法的に有効で要件を満たしている必要があります。
公正証書には金銭消費貸借公正証書、手形公正証書、公正証書による遺言などがあります。
金銭消費貸借公正証書は、元金に加えて約定利子や遅延賠償を受けることができ、消滅時効は10年です。
手形公正証書は、元金のみの受け取りができて消滅時効は3年で、公正証書には強制執行を認める文言が必要で、約束が履行されない場合は公証役場で執行文を発行して直ちに強制執行ができます。
例えば、金銭消費貸借公正証書に「債務不履行時には直ちに強制執行ができる」という文言を入れることで、債務者の財産を差し押さえ、回収、強制競売ができます。
・私署証書の認証もさまざまな場面で活用
私署証書とは個人が作成した文書で公証人による認証が必要ですが、この認証では強制執行はできません。一般的な契約書や文書の公証は私署証書の認識を意味します。契約書が偽造された場合や自分の意思とは関係なく作成された場合には裁判で強力な証拠になります。また、契約書を紛失した場合には公証役場で原本を確認して、抄本や謄本の発給が受けられます。
・公正証書作成困難時は提訴前和解も検討する
「提訴前和解」とは日本の「訴え提訴前和解」に相当して、以前は一定額の金銭や手形などの支払いの場合に限り公証が使用できました、2013年に公証人法が改正されて、建物や土地などの物件の引き渡しを求める場合にも公証が利用できるようになりました。しかし、あまり利用されず、紛争が生じた時に訴訟を提起する前に法廷で合意する「提訴前和解」が良く用いられています。
提訴前和解には合意内容が和解調書に記載されて、判決文と同様の効力を持ち記載された内容通りに強制執行することもできます。ただし、貸借人が無断で占有を第三者に譲渡した場合は強制執行が困難になることもあります。
このように、公証は種類ごとに法的意味や効果が異なるため、重要な契約には専門家のサポートを受けて公証制度を活用することをおすすめします。